Interview

代表インタビュー
代表インタビュー

美容室イレブンカットを経営する株式会社エム・ワイ・ケーの本社には、似顔絵や名前、数字が描かれている絵が何枚も飾られている。これは、各店舗が1日の最高記録を更新した際にスタッフたちが作成したものである。一人では決してなしえない成果を協力して達成できたスタッフ全員の喜びが、絵の一つ一つ、言葉のひと言ひと言から溢れている。
下積み期間が長く、職人気質が強いといわれる美容業界。その業界において美容師さんたちを、ただの技術の職人さんで終わらせないようにチームワークの大切さを説き、美容師さんが一生働ける会社を目指している、株式会社エム・ワイ・ケー代表取締役 吉楽裕(きちらく・ゆたか)がイレブンカットの魅力について語った。

株式会社 エム・ワイ・ケー (美容室イレブンカット)
代表取締役 吉楽 裕 (きちらく・ゆたか)

業界全体が下降気味の中で、毎年成長し続けるイレブンカットをみると新しいムーブメントを作っているような印象を受けます。

イレブンカットの特徴は何といっても『美容室なのに予約が必要なく11分のカット時間で料金が1,500円(税別)』という独自の料金体系です。現代の美容室に行く人たちが求めているのは『確かな技術で、安く、早く』です。自分たちは市場のニーズはどこにあるのかというところから考えたので、イレブンカット独自のシステムを見つけることができました。

確かに他の美容室でここまで徹底したシステムを見たことがありません。どこでこれを考え付いたのですか。

私の前職は年商300億円を売り上げる魚屋の専務だったんです。けれど、その会社が株式公開をすることになり、経営方針の意見の相違から、公開半年くらい前に会社を辞めました。
ちょうどその前後に、通っていた美容室の先生から「この店を買ってくれないか」と相談されたんです。その時は、全く何も知らない業界だし、選択肢のひとつ、ぐらいにしか考えていませんでした。でも、たまたまそこに置いてあった雑誌の記事に「客から見た美容室のワースト5」といった内容の記事があり、「値段が高い」、「時間がかかる」、「予約が手間」、「メニューが多すぎて分からない」、「シャンプーなどを売りつけられる」と書かれていたんです。それがヒントで「全部逆のことをすればウケるんじゃないか」と考え付きました。

では開店当時からの発想だったんですね。
2000年に第1号店となる湘南台店をオープンしましたが、当初から周囲の反応はよかったんですか。

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初めはお客さんがこなくて、親戚や前の会社の人に声をかけていました(笑)。ものすごく安い料金が逆に周囲の反応を悪くしていたんですね。「あんなに安くて技術は大丈夫なのか」って。
そこで、まずは来てもらって体験してもらわないとイメージが払拭できないと考えて、「タイムサービス 先着10名様 カット500円!」っていうのをやりました。魚屋がオープンする時の「鮭1本500円!」と同じ発想です。そうしたら、当日に10名のお客様が店頭に並んでくれていたんです。
試行錯誤の繰り返しでしたが、こういう積み重ねをしていく中で、イレブンカットの評判が広まり始めて、お客様に来ていただけるようになったんです。

料金にしても、集客方法にしても美容業界では珍しい発想をされていると感じましたが。

今までの仕事から受けた影響が大きいように思います。私は実家が魚屋で、大学を卒業すると父の手伝いをしていました。しかし、当時はスーパーマーケットが出てきた頃で、小さな個人店の勢いがなくなっていた時代です。父も私に給料を払えなくなり、私は外に出ることになりました。
スーパーや、個人経営の魚屋、いろいろな所に勤め、36歳の時に前職の個人鮮魚店で働き始めました。そこでデパートの地下食品売り場に出店してみないか、との話をいただいたんです。当時はまだ『デパ地下』などという言葉もなくて、デパートの地下食品売り場が静かだった頃の話で、鮭の切り身が一切れ1,000円で売られていました。お客さんはお金を持っている方ばかり。そこで同じものを、もっと手軽に大勢の方が買えるようにしたいと、値段を3分の1にする工夫をしたんです。レジや素早くパックできる機械を導入したり、デパートの包装紙をなくしてトレーパックにしたりね。そうしたことで、1日20万円だった売上を2~300万円にすることができました。
その発想と経験が今の仕事のベースになっていると思います。

イレブンカットの最大の強みである「チームワーク」もその時の経験が源泉となっているんですね。

そうですね。当時の仕事で関わった魚屋の方たちは、個人経営をやっていた職人の方々だったんです。その個人プレーだった方たちの個々が持つ強みを活かし、不得意なところは得意な人に力を借りて、相互で助け合うことでもの凄い成果を得ることができたという経験が、イレブンカットの独自の強みにつながっています。
「チームワークを活かせば、一人で得られる何倍もの成果を得ることができる」ということです。
店舗に所属していても、徒弟制度の中で自分の実力を磨き、給与を歩合制にして個人の労働意欲を掻き立てる――。同じ店舗にいても、個人プレーでいわゆる職人になっていくのが美容業界の常でした。
イレブンカットではチームワークで業務にあたります。髪を切って接客する人がいて、裏でマネジメントする人がいて、それぞれが自分の強みを活かす。そうして組織で動くことで、一人では成し得ない成果が得られることを全員で学んでいきます。

ずばり美容師としてイレブンカットで働く最大のメリットはなんですか。
また今後について、イレブンカットはどのようなビジョンをお持ちですか。

イレブンカットの語源は、もっと工夫を、もっとサービスを、もっと思いやりを…と、『もっともっと』をプラスしていく美容室にしたいという思いから、プラス1プラス1のイレブン『11』にしたんです。イレブンカットは美容師としての技術だけでなく、プラス1の『自分の強み』を身につけられる、これが最大のメリットだと思います。
多くの美容師さんたちは「六本木や原宿の一等地で独立店舗を持ったカリスマ美容師になる」という夢に向かって頑張っていると思います。でも、なれるのはほんの一握りで、その先に待っているのは大変な現実ではないでしょうか。
イレブンカットではプラス1をビジネススキルとか、社会的技術という表現をするのですが、技術だけではなくマネジメントもできたり、人材教育ができたり、自分なりのプラス1があれば、それだけで他の美容師より魅力的になると思います。そうすれば、技術だけの競争とは別のところで生き残れて、何歳になっても美容師を続けられます。
イレブンカットには、美容師=職人・技術者としてだけでなく、店舗を束ねるマネジャー・スタッフを教育する役割など、組織として個を活かせる多彩なステージがあります。
イレブンカットでは『チームワーク』の力を体験して学びながら、美容師としての技術だけでなく、プラス1で自分の強みを身につけられるんです。
そして、今までより幅のある人間的な技術やビジネス的な技術を身につけ、年齢に見合った責任や立場で活躍をしてもらう職場(店舗や本部)を、たくさん作りたいと思っています。
このような事業を美容師さんと協力して進め、一生働けるイレブン作りを目指す、それが私の目標です。

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